山の人 音盤鑑賞日記  by 山の人

「田中公平20周年な夜」 (VICL-60677) と 「田中公平コンサート サクラな夜」 (AVCA-14108) を聴いて 〜

登録 2001/07/31
体裁変更 2002/05/20


 この感想を読んでいただく前に注意していただきたいことがあります。 それは私のCDの聴き方についてです。 いろいろな方にお話を聞くと大体劇伴を聴くとその楽曲の使われた場面が浮かぶそうです。 ですが私は大体の楽曲を純粋な管弦楽曲として聴いているのです (もちろん例外もあります)。 それを踏まえたうえで読んで頂きたいと思います。

 まず演奏会全体の感想。 正直 「私も会場で聴きたかった」 と思いました。 旧東京フィルハーモニー交響楽団 注1 は私の大好きだったオーケストラのひとつなのです。 残念ながら通常の編成より若干少ない人数ですがコンサートマスターの青木氏 注2 を中心に素晴らしい演奏を繰り広げていると思いました。 指揮の宮松氏も公平先生の楽曲をしっかりと理解されているようで、見事にオーケストラを統率されていると思いました。


 第1部ですがすべて書くとトンでもない事になるので特に印象に残った曲について書かせていただきます。

 「未完成協奏曲」 ですが、やはり冒頭はピアノがほしいと思いました。 公平先生の歌もCDで聴いて素晴らしいのですから会場で聴けばなお感動したことでしょう。 しかし間奏に入ったところでオーケストラがずれてしまい冷や冷やしました。

 ロボットもの3曲ですが、「ライジンオー無敵合体」 が特に印象に残りました。 特に中間のチェロのメロディからバイオリンに受け継ぐ際の高揚感! 公平先生のオーケストレーション 注3 の素晴らしさを改めて思い知らされました。

 08MS小隊からの 「]」 ですが、この曲を日本のオーケストラがここまで見事に演奏できることに驚いてしまいました。 正直海外で録音した楽曲を日本で演奏するとするとがっかりする事が多いのですが、さすが旧東フィル。 チェコ・フィルに負けず劣らずの名演でした。

 私にとって本命の銀河鉄道999エターナルファンタジーから 「Eternal Fantasy」 ですが、楽曲も演奏も最高でした。(やはり会場で聴きたかった) ラストのテーマの再現におけるブラスセクションの輝かしい演奏、それに答えるバイオリンの美しいメロディ。 オーケストラを聴く醍醐味を心ゆくまで味わうことができました。

 「交響詩バスタード第3楽章」 は、コンサートマスターの青木氏のバイオリン独奏が光っていたと思います。 それを受けてオーケストラ全体が実に繊細な音の世界を作り出していたと思います。

 パイプオルガンを加えた 「ノリコ〜時の河を越えて」 は、常にオーケストラが全体で鳴り続けていて聴いていて気分がよくなります。 ですが途中のオーボエ独奏の部分。 つまり1番オーケストレーションが薄くなるところこそがこの曲の聴き所だと私は思います。 公平先生の楽曲構成の妙が味わえる曲だと思いました。

 第1部最後の曲 「GGGのテーマ〜いつか星の海で〜勇者王誕生!」、これは理屈抜きにただひたすら 「カッコイイ!!」 の一言に尽きるのではないでしょうか。 オーケストラも大変な熱演を繰り広げたと思います。 特にベースドラム (大太鼓) の音が効果的に使われているのが印象的でした。(ベースドラムが鳴るたびにタケミツメモリアル (@SSK注: ホールの正式名称 「東京オペラシティ コンサートホール タケミツメモリアル」 より) 全体が振動したことでしょう。ああ、会場で聴きたかった・・・)


 つづいて第2部の感想を書きます。

 「ドリーム/夢の1ポンド」 は私の大好きな歌ですが、正直なところ不安な楽曲でもありました。 なぜなら12分という異例の長さ、めまぐるしく変化するテンポ。 これほどの難曲を歌いきれるのかと思っていたのです。 しかしそんな心配はCDを聴き始めてすぐに消え去りました。 公平先生も言われてましたが、みなさん本当に歌がうまいと思いました。 またCDの編集のためでしょうか、それぞれの声もバランスよく聴くことができました (会場の席によってだいぶバランスが違ったと思います)。 伴奏もCDドラマに収録されたものにさらに手を加えられたようで、その違いも楽しめました。

 「春風の恋歌」 は伊倉さんと高乃さんの美しい声にすっかり魅了されてしまいました。 伊倉さんの高音の歌声は特に素晴らしく心に何か訴えかけるものがありました。

 「つばさ」 は何種類か録音があるのですが、今回のものが1番よいと思いました。 渕崎さん、西原さんも素敵な歌を聴かせてくれました。 またギターの千代先生の演奏も楽曲に花を添えていたと思います。

 続いて演奏された 「シンデレラ」。 これは最初期のCDドラマに収録されていた曲で発売された当時毎日繰り返し聴いていたことが思い出されます。 今回ようやく理想的な形で演奏され本当にうれしかったです。 横山さんの美しい歌声、それを支える高乃さんの堂々たる歌声に聴きほれてしまいました。

 「愛は永久に」。 これについては残念なことが1つあります。 それは楽曲後半の合唱がカットされていたことです。 トランペットが代わりを務めていましたが、やはり合唱の響きがほしいと思いました。 ですがそれ以外は満足のできる演奏でした。 富沢さんも歌謡ショウの時より遥かに素晴らしい歌声を聴かせてくれました。 田中さんも圧倒的ともいえる声量で見事に歌い上げていました。 私は会場で聴いていたら恐らく泣いていたでしょう。 また会場で聴けばタケミツメモリアルのパイプオルガンの響きも堪能できたことでしょう(泣)。

 プログラム最後の 「サクラ大戦BGMメドレー」 は最後を飾るのにふさわしい内容でした。 「時は忘却の中に」 は琴の代わりにクラリネットがテーマを演奏したため印象がいつもと多少違いましたが、なかなか味わい深いものがありました。 それに続く青木氏の独奏も楽曲の雰囲気を見事に表現していたと思います。 そしてクライマックスの 「帝都のために…」。 旧東フィルのブラスセクションが持てる力を全開にして楽曲に答えていました。 バイオリンのスピード感のあるメロディに合いの手として演奏されるトランペットとトロンボーンの輝かしいファンファーレはCDで聞いても鳥肌が立ってしまいました。 最後にコーダ (@SSK注: 楽曲の最後の部分) にあたる 「勝利!」 は会場の手拍子も加わっていたので会場の盛り上がりがよく伝わってきました。 人によっては手拍子は余計だと思われるかもしれません。 ですが同じ空間で全ての人がその演奏に参加する。 私は良いことだと思います。

 アンコールですが、「花咲く乙女」 を久々に聴いて改めてこれは名曲なのだと思いました。 個人的に再録音してほしい楽曲のひとつです。 「夢のつづき」 は華やかさを増していて楽しく聴くことができました。


 以上がCDを聴いて感じたかなり個人的な感想です。 公平先生の魅力が大変理想的な形で収録されたアルバムだと思います。 次のコンサートのときはぜひ会場でこの感動を味わいたいです。

 ありがとうございました。

最後におせっかいな解説

注1: 実は今年の4月に旧東フィルは新星日本交響楽団と合併して新たに 「東京フィルハーモニー交響楽団」 として歩みはじめたのです。 このため、感想の中では 「旧」 を付けさせていただきました。

注2: コンサートマスターとは客席から見て指揮者のすぐ左側のバイオリンの1番手前で演奏する方のことです。 演奏中にオーケストラに合図を出して全体をリードする役割を持っています。 また写真から判断すると、この日は旧東フィルの3人のコンサートマスターのお一人である青木氏がコンサートマスターを務められていたのだと思います。

注3: オーケストレーションとは、オーケストラの楽器を楽曲に配置する技術のことです。


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